よく「ボートの免許って昔からあるの?」とか「昔は国家試験とか無かったってホント?」とかご質問を受けることがあります。本日は小型船舶操縦士の免許制度の歴史を少々紹介したいと思います。
◇1951年(昭和26年)に小型船舶操縦士免許制度は船舶職員法として制定されました。対象となっていたのは20トン未満の船舶で、5トン未満の船舶については対象となっていませんでした。国が直接実施する国家試験で1年以上の乗船履歴を条件に、身体検査と筆記試験により免許交付されていました。
◇1957年(昭和32年)に総トン数5トン未満の小型船舶に対し旅客などの特定の目的に船舶を運航する場合に限り免許を持つ者が乗り込むように法が制定されました。無資格者による事故が相次いだことが背景にありました。
◇1974年(昭和49年)に船舶職員法が大きく改定され、免許階級を制定し1~4級小型船舶免許とし、現在の免許制度の基盤が誕生します(それまでに交付されていた小型船舶操縦士の免許は1級小型船舶免許と引き換えられました)。
◇1999年(平成11年)に※5級小型船舶が追加されました。
◇2003年(平成15年)6月に新制度に移行し水上バイクの免許が誕生、1級・1級5トン未満・2級・2級5トン未満・特殊(水上バイク)免許となりました。
◇2003年(平成15年)11月に5トン限定が廃止され、現在(平成25年)の制度、1級・2級・特殊の3種類の免許となっています。
免許制度にはこのような歴史があります。
それにしても・・・・、※5級免許ってお得感たっぷりの免許でした。ジェットも乗れるしボートも乗れる、湖川はもちろん海にだって出られるし、今となっては20トン未満の船舶まで操縦できちゃう。そんな免許が「3級」として今後復活しないかなぁ。する訳ないよなぁ。。。
当船舶免許スクールではボート免許教材研究会作製の小型船舶操縦士問題集を利用しています。こちらも過去の国家試験学科問題を集約し作製しています。
特殊小型船舶(水上バイク・ジェット)国家試験の学科試験問題は1級船舶・2級船舶と同じように出題番号によって内容が決まっています。例えば問10は「小型船舶免許制度」、問15は「各種船舶間の航法(種類の違う船舶、漁労従事船と帆船等が出会い衝突のおそれが有る場合の規定につて)」、問23は「水上オートバイ操縦時の心得」、問40は「人命救助・救命設備の取り扱い」についてそれぞれ出題されます。合格するためにはこの問題集の前半にある模擬試験に挑戦し、正解できなかった問題番号を後半にある出題番号別にまとめている部分で勉強すると短い時間で効率的に得点数をあげることができます。
この問題集も当船舶免許スクール窓口(大阪府大阪市淀川区西中島)にサンプルを置いています。尚、1級ボート免許・2級ボート免許をすでに取得している方が特殊小型を受験する場合、国家試験(学科試験)の一部が免除されます。詳しくはお問合せ下さい。
講習日や試験日の日程はお仕事の都合等でどうしても曜日などが限られてしまう方のほうが組みやすく、いつでも大丈夫という方の方がかえって日程設定を迷われているようです。オススメの日程の組み方を紹介しますので、是非参考にして下さい。
◇特殊小型船舶(水上バイク)の場合
講習日は国家試験日になるべく近い日
◇2級小型船舶(ボート)の場合
学科講習日(レギュラーコースのみ)・・国家試験日前2~10日くらい。
実技講習日・・国家試験日になるべく近い日(国家試験日前日または前々日等)
◇1級小型船舶(ボート)の場合
学科講習日(レギュラーコースのみ)・・国家試験日前3~14日くらい。
実技講習日・・国家試験日になるべく近い日(国家試験日前日または前々日等)
◇全体をとおして土日祝は混み合うことが多いです、平日でも受講可能という方は是非平日の講習をお選び下さい。
上記オススメの日程は自由自在に日程を選択できる方で迷っている方に参考にして頂くものです。
お仕事のご都合等で上記のようなスケジュールを組めない方は、気にされずに日程をご指定下さい。
お電話でのご相談も頂くこと出来ますので是非お問い合せ下さい。
1級小型船舶操縦士免許の航行区域は無制限ですが、実際に外洋に出る場合にはいくつか条件があります。
1.乗船する船舶の航行区域が遠洋区域であること。
2.帆船以外の小型船舶にあっては、沿海区域の外側80海里(海岸から100海里)未満の水域以遠を航行する場合は、6級海技士(機関)以上の資格を受有する者を乗り組ませること。(船長が兼任できません)
2級小型船舶操縦士免許は16歳から取得することができます(15歳9か月から受験することができます)が・・・。
18歳以上の方が2級小型船舶免許を取得すると20トン(船の容積を表す単位)未満の船舶を操縦することができるのですが、18歳未満の方が取得した場合は18歳になるまでは5トン未満と船舶の大きさが限定され、船舶免許証に「若年者限定」と記載されます。
船舶免許証は交付日から5年間有効ですので、18歳の誕生日を迎えた後も当然免許証に記載が残りますが、手続きなどを経ずに20トン未満の船舶を操縦することができるようになり。
水上バイクの資格(特殊小型船舶操縦士)学科試験全40問の内正答率が80%を割り込むのは下記内容(番号)です。
問11「小型船舶の検査及び登録制度」
問14「横切り船・避航船と保持船」
問16「見張り・安全な速力・衝突のおそれ」
問17「狭水道・視界制限状態」
問18「形象物・信号」
問20「港内での一般的航法」
問21「雑種船・防波堤突端付近の航法」
問22「海上交通安全法」
問31「浮標式」
問32「海図」
問37「気温・風・雲・波」
問38「潮汐及び潮流」
科目別にみると「交通の方法」(問13~問22)に10問中7問と正答率の低い問題が集中しているのがわかります。
その他は「小型船舶操縦者の心得及び遵守事項」12問中1問のみ、「運航」18問中4問です。
合格基準は全40問中26問以上正解させることの他に、各科目別の合格基準(半数以上正解数があること)を満たす必要があるので、科目別でいうと「交通の方法」は要注意です。
上級科目の海図作図問題以外の正答率について
下記2問が正答率の低い問題です。
問55「気象予測」74%
問57「荒天航法・台風避航」78%
問55は天気図が出題されることが多く、覚えきれないと言われる方が多いです。
問57は特に台風の風(中心に向かって反時計回りに吹き込む)についての出題を苦手にしている方が多いようです。
上級運航1は出題8問中、最低限4問以上正解させることが合格条件ですので、海図が苦手な方はそれをフォローするために問55・問57をしっかりと勉強していく必要があります。
上級運航2(問59~問64)には目立った正答率の違いはなく、おおむね82%~86%です。主にエンジン等の基本・保守整備・事故時の対処について出題されます。エンジン等についての知識があらかじめある人には得点源となる科目ですが、全くエンジン等の知識がない人は苦労される科目です。
前回は正答率の低い問題について紹介しましたが、
今回は正答率の高い科目について紹介してみます。
各科目別の平均正答率にみてみると、
小型船舶操縦士の心得・遵守事項(問1~問12)約94%
交通の方法(問13~問26)約81%
運航(問27~問50)約80%
小型船舶操縦士の心得・遵守事項(問1~問12)の正答率が非常に高いことがわかります。
問10「小型船舶の免許制度」(正答率87%)・問11「小型船舶の検査及び登録制度」(正答率82%)の2問以外は一般常識では?という問題も多く出題されるので、あまり勉強しなくても点数がとれる科目ではないでしょうか。最初の科目がやさしいので、教科書や問題集の最初の部分だけをチラっと見て、簡単だと思い込んでしまわないように気をつけなければなりません。
一般科目50問(1・2級小型船舶操縦士共通科目)
出題番号により出題内容は決まっています。
例えば 問10 なら「小型船舶の免許制度」
問46 なら「天気図の見方」 など
その中には正答率が高い問題と低い問題があります。
JMRA(財団法人 日本海洋レジャー安全振興協会)が発表した近畿で実施された平成27年4月~10月の試験では下記2問の正答率が60%台と低くなっています。
問35「灯台・灯略記」
海図に記載される各灯台の光り方の記号について出題されます。Iso=等明暗光 Oc=単明暗光 の区別等が出来ない(憶えられていない)方が多いようです。
問48「潮汐・潮流の基礎知識」
潮の満ち引きや、それに伴う潮流について出題されます。どうして満潮や干潮になるのか(月と太陽の引力と地球の位置関係等)がイメージできない方が多いようです。
満点を目指す方は正答率の低い問題もしっかりと勉強する必要がありますが、合格基準を満たすためであれば敢て正答率の低い問題は捨てるというのも方法です。
ただ、問35「灯台・灯略記」については覚えてしまえば(当スクールが使用している教科書ならA4半ページ)、確実に1問正解することができるので捨ててしまうのはもったいないところではあります。
次回は正答率の高い科目についてお伝えします。
沿岸小型船舶は沿海区域内の本州、北海道、四国及び九州並びにこれらに附属する島の各海岸から5海里以内の水域と平水区域に限定された水域を航行することができます。沿海区域内において海岸から対岸までが10海里以内の水域(それぞれの海岸から5海里以内の水域が重なる水域)を航行することができます。
し・か・し・・・・
水上オートバイは、出航した海岸から沖合2海里を超える航行は出来ませんので、対岸までが2海里を超える地点への航行は出来ません。ですので海岸から沖合3海里にある沿海区域の離島まで可搬型小型船舶の水上オートバイでは航行することは出来ません。