今回は上級科目で出題されることのある計算問題について、どの程度のもか紹介します。
問59
A港から26海里離れているB港まで往復しようとする。両港の港口から1海里は徐行区間で、それぞれ4ノットで航行しなければならない。
それ以外の区間は平均速力12ノットで航行し、そのときの燃料消費量を毎時11リットル、4ノットで航行する徐行区間の燃料消費量を毎時6リットルとすれば、
出航前に搭載しなければならない燃料の量はいくらか。次のうちから選べ。ただし、予備燃料として2割を加えよ。
(1)48リットル (2)52リットル (3)57リットル (4)60リットル
26海里×2(往復)=52海里(の内、徐行区間4海里・それ以外の区域48海里)
4海里÷4ノット=1時間 1時間×6リットル/時=6リットル
48海里÷12ノット=4時間 4時間×11リットル/時=44リットル
50(6+44)リットル×1.2=60リットル 解答(4)60リットル
問59
10ノットで航走するときの燃料消費量が毎時20リットルの船が、18海里離れた2地点間を往航10ノット、復航9ノットで往復したとき、
燃料消費量が64リットルであった。では9ノットで航走するときの1時間の燃料消費量は何リットルか。次のうちから選べ。ただし、風潮流の影響はないものとする。
(1)12リットル (2)14リットル (3)15リットル (4)18リットル
往航 18海里÷10ノット=1.8時間 1.8時間×20リットル/時=36リットル
復航 64リットル-36リットル=28リットル
18海里÷9ノット=2時間 28リットル÷2時間=14リットル 解答(2)14リットル
小型船舶操縦士学科試験において電卓を使用することは認められていません。
しかし、計算問題は出題されます。
では、どの程度の計算をする必要があるのかを実際に出題された問題からみてみましょう。
(一般科目、1級・2級共通)
問33
A地点から60海里離れたB地点間を、行きは平均速力15.0ノット、帰りは平均速力10.0ノットで航走した。
往復航を通しての平均速力は次のうちどれか。ただし、全行程において風や海潮流の影響はないものとする。
(1)6.0ノット (2)10.9ノット (3)12.0ノット (4)12.5ノット
60海里÷15.0ノット=4時間
60海里÷10.0ノット=6時間
120海里(60海里を往復)÷10時間(4時間+6時間)=12.0ノット 解答(3)12.0ノット
問33
航路に沿って10ノットで航行中のA船は、航路上に設置されたBブイとCブイの間を3分ちょうどで通過した。
BブイとCブイの間隔は何メートルか。次のうちから選べ。ただし、風や潮流の影響はなく、A船は一定の針路及び速力で航行しているものとする。
(1)約620メートル (2)約930メートル (3)約1,240メートル (4)1,550メートル
10海里×1,852メートル=18,520m
18,520m÷60分(1時間)≒309m
309m×3分=927m 解答(2)約930メートル
上級科目で出題される計算問題については次回ふれてみたいと思います。
2級小型船舶免許をすでに取得されている方が1級にステップアップする際に受験する上級科目14問題の時間制限は1時間10分(70分)です。
時間配分を間違えると、必要以上に焦らなくてはならなくなります。
以下は(個人的に)お勧めの時間配分の目安です。
まず、海図以外の問題(11問)をじっくり解く、ココで慌ててしまうと見直しが必要となるので、見直しはしないつもりでじっくりと解く。時間約25分
意外と海図以外の問題は時間がかからないので、「どんな問題が出ているのだろう?」と気になりながら海図を解くよりは、先に解いてしまうと安心できるかも(過去問題を練習勉強している人は)。
海図1問目(問51)約15分←20分以上かかってしまう人は要練習
海図2問目(問52)約10分←15分以上かかってしまう人は要練習
海図3問目(問53)約10分←15分以上かかってしまう人は要練習
以上で計50分経過。
後20分で見直しをする。
正しいものを選べ、誤っているものを選べ等の勘違いミスがないかにも要注意。
マークシートの記入ミス(問1~問14)にマークしてしまうとアウト。
新規(2級受有者でない場合)1級を受験する場合は、一般科目・上級科目併せて64問を所要時間2時間20分以内で解答する必要がありますが、一般科目(50問)はゆっくり解いたとしても50分程あれば十分なハズですので、上級科目に割り当てられる時間に余裕が出るハズです。
当スクールではテキスト・問題集の他に、最近出題された過去問題(正解付き)をお渡ししてます、試験直前には時間を計りながら解いてみておくことをお勧めします。
1級小型船舶操縦士学科試験(上級科目)に3問題(問51~問63)海図作図が出題されます。
三角定規の使い方に慣れる必要は全ての問題にありますが、それぞれの解法テクニック(ポイント)を紹介します。
問51は航海計画について出題されます。
注意点と必要な知識は
コンパスローズ(コンパス図)は磁針方位目盛りのみを使用すること。
針路に対して目標を右舷正横・左舷正横に見る地点を求められること。
緯度(○○°○○.○′N)、経度(○○○°○○.○′E)、を読めること。
デバイダーでの距離測定する際に、必ず緯度尺で行うこと。
全行程と速力から所要時間を割り出せること。
例)全行程42海里、速力12ノットの場合
42海里÷12ノット=3.5時間=3時間30分
問52船位の測定について出題されます。
注意点と必要な知識は
コンパスローズ(コンパス図)は磁針方位目盛りのみを使用すること※真方位目盛りを使用するのは問53のみ。
コンパス方位は磁針方位に修正してから作図すること。
例)コンパス方位068°自差5°E→磁針方位073°
コンパス方位225°自差6°W→磁針方位219°
問題文に自差が記されていない場合はトランシット(重視線)を利用し自差を求められること。
レーダーの相対方位指示を利用する場合
船の磁針方位にレーダーの相対方位を加算し、船から物標の方位を求められること。
解答する際、緯度のみ、または経度のみで見当をつけないこと。
問33海流がある場合の航法
51・52と違い、コンパスローズの真方位も使用する(海流の流行のみ)。
言葉の意味(違い)を理解する、船の磁針路と実航磁針路、速力(対水速力)と実航速力(対地速力)
経過時間に注意して作図し、例)10時に航行を開始し、正午に船位を測定した。海流の流速(ノット)で解答する際には単純にデバイダーで距離を測るのではなく1時間あらりの海里数にすること。
方位を解答する際には、船の磁針路・実行磁針路の場合は磁針方位目盛りで、海流の流行(真方位)の場合は真方位目盛りで測定する。※せっかく正しく作図出来ているのにこの段階でミスしてしまうケースが多い。磁針方位と真方位を測定する際に間違えた場合の数値が選択肢にある場合が多いので要注意。
本日1月6日より平成29年営業を開始いたしました。
ここのところ平年より暖かく感じられる日が続いています。
1級・2級はこの時期が一年中で最も受講生が少なく、普段以上にじっくりみっちりと対応させていただけます。
特殊小型船舶は3月末より実施致しまが、ご予約受付は開始しています。
今年もいろいろな方との出会いを楽しみにしています。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
一級小型船舶操縦士免許(1級ボート免許)国家試験(学科試験)では海図作図問題が3問出題されます。当ボート免許教室では上級科目学科講習の際に海図と定規類(三角定規・コンパス・デバイダー)を受講される方々にお渡ししています。料金は別途必要ありません、もちろん講習費に込みです。海図は150号と200号を両面印刷したものを2枚(講習時に1枚使用し、ご自身での練習用に1枚)お持ち帰り頂いています。作図問題は難しく考えずに楽しみながら解くのがポイントです。すでに2級を受有している方の場合は実技試験が免除され、しかも学科試験の内一般科目50問も免除されます!是非挑戦お待ちしています。
実技テキスト(船外機船)が製本完了しました。小型船舶操縦士免許実技国家試験は1級・2級共通ですので、1級ボート免許・2級ボート免許取得コースの方々にお渡ししています。写真下が従来の実技テキスト、写真上が実技テキスト(船外機船)です。
2級小型船舶操縦士で航行できる範囲は海の場合原則岸から5海里(約9.2キロメートル)ですが、それに加え「平水区域」を航行することが出来ます。
「平水区域」とは湖、火わ及び港内の水域並びに次に掲げる水域をいう。この場合において、港の区域は、港則法に基づく港の区域の定めのあるものにつては、その区域とする。ただし、これと異なる区域を告示で定めたときは、その区域とする。
例
和歌山県駒埼から同県灯明埼まで引いた線及び陸岸により囲まれた水域
和歌山県宮崎ノ鼻から同県田倉埼から二百三十六度二千メートルの地点まで引いた線、同地点から兵庫県淡路島生石鼻まで引いた線、同島江埼灯台から三百三十度に引いた線及び陸岸により囲まれた水域
兵庫県加古川口左岸突端から同県加島東端まで引いた線、同島東端から香川県小豆島大角鼻灯台まで引いた線、同灯台から同県馬ケ鼻まで引いた線、愛媛県忽那山から山口県平郡島南東端から百八十度二千メートルの地点まで引いた線、同地点から同県八島洲埼まで引いた線、同島鉾埼から同県祝島鳥帽子鼻まで引いた線、同島西端から同県尾島西端まで引いた線、同島西端から同県野島南端まで引いた線、同島西端から同県三田尻中関港築地東防波堤南灯台から百三十七度五千二百メートルの地点まで引いた線、同地点から同県丸尾埼まで引いた線及び陸岸により囲まれた水域
等々
第五管区海上保安本部様のホームページに解りやすい図解がありますのでご紹介します。
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN5/siryouko/monosiri/arekore/heisui.htm
当スクールではボート免許教材研究会(当スクールも入会し問題集作製・編集等に携わっています)作製の小型船舶操縦士一般科目・上級科目問題集を利用しています。
これらの問題集は過去の国家試験学科問題を収集し作製しています。
小型船舶操縦士国家試験の学科試験問題は出題番号により出題内容が決まっています。例えば一般科目(1級・2級共通科目)の問10番は「小型船舶の免許制度」、問15番は「横切り船(2隻の動力船どうしが互いの針路を横切り衝突のおそれがある場合)」、問37は「海図図式(陸における地図記号の海版)、問46番は「天気図の見方」についてがそれぞれ必ず出題されます。合格する為にはこの問題集の前半にある模擬試験に挑戦し、正解できなかった出題番号を後半にある出題番号別にまとめている部分を勉強すると効率的です。上級科目(1級受験の場合)の例えば問51~53番は「海図作図問題」、問59番は「ディーゼル・ガソリンエンジンの基本」について必ず出題されます。上級科目は合格基準が14問中10問正解しなければい(4問しか間違えられない)ので一冊全て仕上げていかなければ安心できません。とは言っても一般科目問題集が114ページあるのに対して上級科目問題集は44ページとボリュームは少な目です。新規(2級や特殊をお持ちでない方)で1級船舶操縦士免許にチャレンジする方は全部で64問題(一般科目50問+上級科目14問)と勉強内容が盛り沢山ですが、上級科目にややウェイトを置くよう勉強するのがオススメかと思われます。
これらの問題集や教本等の教材は当スクール窓口(大阪府大阪市淀川区西中島)にサンプルを置いていますので、アタックコース?かレギュラーコース?、1級ボート免許?か2級ボート免許?、と迷っている方は是非ご覧頂き難易度、勉強量等の参考にご利用下さい。
1級2級船舶操縦士実技試験の安全確認について
「最初の発進」「後進」「離岸」を開始する前には、船尾(プロペラ)付近に人や障害物がないか、船尾(プロペラ)付近が見える位置まで移動して安全を確認する必要があります。
「プロペラ付近よし」で周囲の確認までをしたわけではありませんので、その後の前後左右安全確認も忘れてしまわないように気をつけなければなりません。
またプロペラ付近よしは上記3回必要なのですが、次の場合に勘違いされる方が多いので注意が必要です。
人命救助の必要に応じてボートフック等の準備をする際に船尾付近まで行く際・着岸時に係留作業準備の為に船尾付近まで行く際
ついついプロペラ付近の場面と間違えてしまいます。そうすると、あれ?もう3回目?プロペラ付近よしはこれでおしまい?。
と混乱してしまいますので、「最初の発進」「後進」「離岸」を開始する前の3回としっかりおぼえておきましょう。